私と日食を巡る一夏の物語

私と日食を巡る一夏の物語(2009)

2009.07.23 「私と日食を巡る一夏の物語」

 

今年始め、今世紀最長の皆既日食が起きるということを知った私は是非とも観たいと思い上海遠征計画を立てていた。

 

しかし懸念事項が一つ。7/22は大学のテスト期間なのでテストの日程次第では行けなくなるという可能性があった。

 

というわけでテスト日程が発表されるまで航空券の予約はしないでおいたのですが・・・。

 

 

残念ながら7/20〜7/22の三日間にテストが四つ集中してしまうという事態に・・・。

 

1,2個だったらテスト切ってもよかったんですが4つとなると卒業がかかってる以上切ることはできない。

 

これで皆既日食を観る夢は脆くも崩れ去り部分日食で諦めようと思うもののテンションは急降下しました。

 

 

時は巡り日食一週間前。テンションが下がり日食の準備など何もしていなかったもののさすがにそろそろ動き出さなきゃと思い日食グラスを買おうとする。

 

しかし動き出しが遅かったのかどこも売り切れ・・・。

 

ネットのオークションでも定価500〜1500円のものが2500円オーバーで売られているという状況(日食直前には5000円近くまで高騰したらしい)。

 

 

「所詮部分日食だし」みたいな気持ちに加えて日食グラスが手に入らないという事態でもう今年の日食は観ないでもいいか。

 

三年後の金環日食を楽しみに待とう、という気持ちになる。

 

 

しかしそんな私に救いの女神が現れる。

 

同じサークルで仲の良かった後輩が「私2限テストなのでその間日食グラス貸しますよ。

 

それでテスト始まるまで一緒に観ましょう」みたいな救いの手を差し伸べてくれた。

 

私は日食グラスのお礼に国際政治理論のレジュメをあげました。

 

 

だがことはそう簡単には運ばなかった・・・。当日の朝。起きたら土砂降り・・・。空全体に雲がかかっていてとてもじゃないが晴れそうにない。

 

最後の希望も潰えてしまったのかと絶望感に溢れたまま少しの可能性を信じて後輩との待ち合わせへ向かう。

 

 

東京は9:55欠け始めなので9:50に集合。しかしまったく見えず。

 

予定では日向ぼっこをしながら芝生の上に寝転がって気分良く観測するつもりだったのに・・・。

 

 

後輩のテストが始まるまで待っても見えなかったので彼女はここで一旦離脱。

 

私は日食グラスを貸してもらってもうしばらく待つもまったくダメだったのでネットでの中継を見る方向に切り替える。

 

 

大学のパソコンルームに行って硫黄島からの皆既日食中継を見る。

 

ダイヤモンドリングから始まり長い長い六分間の皆既日食に360度の夕焼けが美しい。

 

360度明るい水平線と今いる地点の暗さの対比でまさに月の影に入っていることがわかる。

 

 

そして皆既の終わりにもう一度ダイヤモンドリング。本当に興奮した!

 

動画でもこんなにエキサイトできるなんて生で見た人が本当に羨ましかった。

 

 

動画で皆既日食を観てテンションがあがった状態のままmixiの日食コミュも覗いてみる。

 

すると関東地方部分日食観測情報トピで「埼玉県で一瞬の雲の切れ目からついに見えました!」という書き込みがあった。

 

埼玉県でも見えたなら東京でも見るチャンスがあるのでは?と思い、いても立ってもいられずパソコンの電源を消し再び外へ。

 

 

11:10頃。東京での最大食分の時間に大隈講堂前でひたすら空を見上げる。

 

周辺には同じような人がちらほら。しかしやはり見えない・・・。もう欠け終わりまで粘ろうと思いひたすら待機する。

 

 

すると30分ほど待った11:40頃。ついに雲の切れ目から一瞬太陽が姿を現した!

 

雲がちょうどいいフィルターになって肉眼でもくっきりと三日月のように欠けた太陽が見えた。

 

何度も諦めかけた上に待ちに待った末での観測だったので感動もひとしお。

 

 

肉眼で見えないくらい眩しい時は日食グラスを使ったんですが日食グラスを通して観る太陽は真っ暗な中に浮かぶ三日月のようで、夜に月を観るのと大して変わらなかった。

 

微妙に雲がフィルターになってこそ肉眼で観ることができ、それによって明るい空に雲がかかっている中太陽を観るという楽しみ方ができた。

 

この見え方は日食グラスを通して観たり投影法で観るのでは決して味わえない素晴らしさがあった。

 

 

今考えるとこの日までの障害は全てこの感動の布石だったのではないだろうか。

 

仮にテストの日程がずれていて上海に飛べていたとしたら雨で見れず残念な思いをしていただろう。

 

 

そして仮に晴れていたら日食グラスを通してしか観ることができず空、雲、欠けた太陽という三つのコラボレーションは決して観ることができなかった。

 

恨みに恨んだテストの日程も天候も最後の最後で味方したのである。

 

 

なおテストを受けていた後輩はこの瞬間を観測することができず本当に残念そうにしていた。

 

その残念がり方は半端なかったのでもう3年後の金環日食は彼女のために晴れて欲しいと思ったw。

 

 

家に帰って改めて昼に観た動画を音声つきで再び観る。

 

皆既中の興奮した人々の声、周囲の夕焼け、夏に見えるシリウス、ダイヤモンドリングの時の拍手・・・全てに興奮したし全てが羨ましかった。

 

この硫黄島周辺海上での観測ツアーの参加費は50万円くらいらしい。

 

たった六分間の観れるか観れないかわからない皆既日食のために50万円を払う価値があるかどうか。

 

自分は価値があると思える人間でありたいしまた払える人間になりたいと思う。

 

 

3年後の金環日食も絶対に観たい。

 

そして日本で26年後の皆既日食の前に世界のどこかで必ず自分の目で皆既日食を観たい。

 

そう感じた今回の日食でした。